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使い方・楽しみ方

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デジスコの世界へようこそ。

 あっ綺麗な鳥だと思ってシャッターを押しても、豆粒ぐらいにしか写っていなかったという経験はありませんか?
 小さな野鳥をアップで写す場合、大変高価な専用超望遠レンズをセットした一眼レフシステムが必須と思っていませんでしたか?
 実は便利なシステムがあるのです。それは、比較的安価で軽量・コンパクトな観察用地上望遠鏡(スポッティングスコープ)や単眼鏡を、望遠レンズやマクロレンズ替わりに使用し、デジタル一眼レフやコンパクトデジタルカメラに取り付けて撮影するデジタルスコーピングシステム(通称:デジスコシステム)です。今、愛好家も年を追うごとに増えています。
軽量・コンパクト  望遠鏡が「見るだけ(記憶する)」から「見たままを記録し」、撮った作品は「ネット上で公開する」へ。地上望遠鏡は撮影のための超望遠レンズ、超マクロレンズとしても大いに注目を集めています。

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これがデジスコの力。

50mm

50mm

100mm

100mm

300mm

300mm

500mm

500mm

1000mm

1000mm

2000mm

2000mm

4000mm

4000mm

7000mm

7000mm

1.驚くほど大きく写せる。

 デジスコシステムの基本は、地上望遠鏡(スポッティングスコープ)や単眼鏡に、デジタル一眼レフやデジタルコンパクトカメラを取り付けたものです。
 左がその撮影例(高倍率「スポッティングスコープ」に「3倍ズームレンズ付きデジタルコンパクトカメラ」をセットして同じ撮影場所から同じ被写体を撮影。被写体までの距離約20m)で、一番上の写真が50mm標準レンズ(35mm版換算)の液晶モニター。野鳥の模型はどこですか?ですが、300、500でやっと見えてきて、1000、2000、4000で画面いっぱい。デジスコの独壇場7000mmの世界だと20m先のカモの顔がここまでアップで撮影出来ます。
 コンパクトカメラだけではなく一眼レフカメラもお薦めです。最近は低価格で軽量コンパクトなデジタル一眼レフも発売されていますので、交換レンズの代わりにスコープをアダプターを介して装着すれば超望遠撮影が簡単に可能になります。一眼レフカメラの魅力は光学ファインダーでのピント合わせが出来、シャッタータイムラグが極めて短いので、瞬間の撮影に最適です。また、液晶画面でのピント合わせが出来る機種もあります。但し、カメラの撮像素子サイズは、35mm版サイズ、APS-Cサイズ、フォーサーズサイズ、マイクロフォーサーズサイズといろいろな種類がありますので、機種により焦点距離(35mm版換算)が異なってきますので、ご使用のメーカーのホームページ等でご確認ください。

2.しかも軽くてコンパクト。

イラスト:デジスコサイズ 大きさ、重さからいってもデジスコシステムは有利です。同程度倍率での専用超望遠レンズを装着した一眼レフシステムと比較してもそのコンパクトさは際立っています。「軽く、小さく、扱いやすい」ことは撮影が楽であり気軽に撮影に出かけようという気持ちにつながります。イラスト右の専用超望遠デジタル一眼システムは約15kg程度、デジスコなら4~6Kg程度が標準ですからその違いは歴然です。デジスコの場合スコープを小さな単眼鏡に変えれば重量約1.5Kg程度となり、装着するカメラ次第では焦点距離800mm程度の撮影が出来てしまいます。しかも最短撮影距離が30cmくらいまで近づけるので野草や昆虫も超アップで撮影出来ます。

3.撮影直後の確認が簡単、撮影前の確認も便利。

液晶モニター 撮影後カメラの液晶モニターで、即、確認ができるから、構図やピント、ブレのチェックもすぐできるのがデジタルの魅力。コンパクトカメラや一眼レフタイプの一部の機種では、液晶に「こう写る」がいつも見えているのもデジスコの魅力です。被写体がどこにいるか、ピントはどうか、構図的にはどうか。撮る前にどう撮れるかがわかることは誰にでもいい写真が撮れるということです。
 ※失敗したらすぐ消せるのもデジタルカメラの大利点。フィルムオンリー時代の「現像・紙焼き」してみないとどう写っているかわからないというコストを考えるとお財布にもやさしいのがデジスコです。

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デジスコの主な機材。

 デジスコシステムは主に次の8つのパーツで構成されます。ここではコンパクトデジタルカメラを使ったシステムの代表的機材について簡単に記述しておきます。(詳細はデジスコ専門ショップや、カメラ量販店デジスコ機材扱い店でお尋ねください。)

デジスコシステム構成1
1.スコープ&接眼レンズ
:焦点距離400~500mmのスコープに2~6倍程度の接眼レンズを取り付け被写体を16倍~60倍(800mm~3000mm相当)まで拡大します。
2.コンパクトデジタルカメラ
:上記に光学3倍ズームのカメラをセットすれば2400mm~9000mm相当の画像がカメラ液晶モニターに写し出されます。
3. 三脚・雲台
:デジスコの大敵は手ブレと機材ブレ。機材をしっかりと支え角度や高さを滑らかに調整できるものを選んでください。
4.ケーブルレリーズ
:超望遠撮影ではシャッターを指で押した時機材が1mmずれただけで被写体画像が10cm~20cmずれてしまいます。そのための機材振動を抑えるケーブルレリーズは必需品です。(最近はリモコン使用でシャッターが押せる機種も増えて来ました。その場合はリモコンをご使用ください。)
デジスコシステム構成2
5.バランスプレート
:スコープとカメラの重心を保持し三脚作用点を一致させる重要なパーツです。これがあるとないとでは使い心地に格段の差が出てしまいます。
6.アダプター&カメラブラケット
:スコープユニットにカメラを取り付けるためのアタッチメントです。スコープ接眼レンズとカメラ機種により様々なタイプがあります。
7.液晶フード
:明るい屋外では液晶画面が見えにくくなります。そのための外光遮断用フードが必要となります。これがあればピント合わせも容易です。
8.照準器
:焦点距離2000mm以上を常用するデジスコはとにかく被写体をフレームに入れるのに苦労します。被写体等倍の照準器でまず被写体をとらえて撮影するのが便利です。

*一眼レフカメラの場合は、スコープとカメラの間に専用アダプターを装着します。カメラメーカーによってレンズ装着部のマウント形状が異なりますので、ご使用のスコープやアダプターのメーカー及びカメラメーカーのホームページ等でご確認ください。尚、三脚は一眼レフカメラ使用時でも同じくしっかりとしたものをご用意ください。

コラム1

デジスコの始まり。

見えているんだから写る

 りんごが木から落ちるのを見てニュートンは重力を発見したのと同じと言うと大げさかもしれませんが、デジスコの始まりもひょんなことからだったそうです。今から10年ほど前のことです、スコープを覗いていたマニアの方が、見えているんだから撮れるかも知れないとスコープの接眼鏡にデジカメのレンズをくっつけてみたら撮れた。これがデジスコの始まりらしいです。
 見えているんだから写るかもというマニアの方の発想がデジスコを生んだということでしょうか。
 それが今ではここまでのブームに。もちろんスコープメーカーさん、カメラメーカーさんの全面的な支援協力もあったからでしょうが。

コラム2

デジスコの今とこれから。

デジスコ

 デジスコはいま第二期に入ろうとしているらしいです。それは動画。コンパクトカメラの代わりにデジタルビデオカメラを取り付けての長時間動画撮影。デジスコから自然派生し、ビデオ+スコープで「ビデスコ」と呼ばれています。被写体が動くのは当然としても、音声まで収録出来る臨場感が凄いらしいです。
 もっとも最近のデジタルカメラには、コンパクトカメラはもとより一眼レフカメラにも動画機能は当たり前のように付いていますからデジタルカメラでの動画撮影も短時間なら大丈夫でしょう。
 今後はもっともっと倍率も画質も上がるでしょうし、携帯電話のカメラ機能でデジスコならぬ「ケースコ」もありだとか。楽しみは増える一方ですね。

コラム3

とてもいい参考書。

デジスコビギナーズブック

 このサイトで大変お世話になったのがこの本。ビギナーズブックとうたっているだけに、これからデジスコを始めようとする方にはとてもよい参考書です。デジスコの魅力、機材の詳細、撮影レッスン、野鳥カレンダーや野鳥図鑑はもちろん、パソコンを使った写真のブラッシュアップの方法まで載っていますから至れり尽くせりです。
 さすがはカメラ専門誌の老舗「日本カメラ社」の編集力は素晴らしいと心底思ってしまいました。本屋さんで探してみてください。

 ■日本カメラ社2007年発行「デジスコビギナーズブック」(コンパクトデジタルカメラで手軽に楽しむ超望遠撮影)/税込み2000円
※本文写真及び本文イラスト提供協力
㈱日本カメラ社 http://www.nippon-camera.com/
㈱デジスコ・ドットコム http://www.turboadapter.com/
※各ページ構成参考=㈱日本カメラ社発行「デジスコビギナーズブック」