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使い方・楽しみ方

 ● 野鳥図鑑

野鳥図鑑

 バードウォッチングの楽しさは、野鳥を見つけて、それがどんな鳥か調べ、再び出会った時により詳しい知識をもとにより詳しく観察することにあります。野鳥図鑑には、大判で自宅で使うものと、フィールドガイドと呼ばれる屋外で携帯して使うものの二つの種類があります。どちらも観察した野鳥の名前や習性、分布などを調べるためのもので、イラスト中心のもの、写真を中心としたものなど様々な種類の図鑑がそろっています。基本的な種類を中心とした初心者向けのもの、すべての種類を網羅した中・上級者向けのものがありますので、自分に合ったものを本屋さんで探してください。

 ● フィールドノート

 観察した記録を残し、後々自分自身のバードウォッチングの資料にするための道具がフィールドノートです。いつどこでどんな鳥に出会ったかをメモするためのもので、思い出にもなり、自分がよく行くフィールドの季節の変化での野鳥の移り変わりなども把握できます。(サンプル提供:バーダー編集部)

フィールドノート

【ノート選びのポイント】

□ポケットに入り持ち運びに便利な小型のもの
□表紙が硬く野外で書きやすいもの
□罫線などは薄く、出来ればないほうが書きやすい
□同じ大きさのノートでそろえた方が整理しやすい

【記録のポイント】

□場所、年月日、時刻、天候、環境(水辺、里山、低い山等)、観察野鳥名などを記入する。
□帰ってからその日の感想などを記入しておくと後で見て楽しみが増える。
□最初は中・上級者の方のノートを見せてもらうのが早道だと思います。

 ● 双眼鏡

野鳥アップ

 鳥たちの警戒心は思ったより強く、少しでも近づくとサッと逃げてしまいます。双眼鏡は、ただ単に鳥を大きく見るためのものではなく、警戒心の強い鳥たちを離れた場所からじっくり観察するためになくてはならない道具です。
 例えば8倍の双眼鏡であれば、80m先の鳥の姿が10m先にいるように見え、細かい姿、形や、羽根の色まではっきりとわかるようになります。明るく見える双眼鏡(口径が大きいもの)であれば、暗いところにいる野鳥もはっきりと見ることが出来ます。
 小型、中型、大型と3種類ありますから、詳しい方や専門店のスタッフの方に相談して自分に合ったものを選んでください。

双眼鏡:大・中・小

左:小型     中央:中型     右:大型

ボディストラップ装着
ボディストラップ

<ボディストラップ>

 バードウォッチングは、時には長い間歩き続けるもの。双眼鏡は首からぶら下げて使うのが原則ですが、ぶらぶら動くと歩きづらく、意外に首が疲れるものです。写真のボディストラップは太めで幅が広く、体全体で双眼鏡を支えてくれるためとても便利なものです。(こんなストラップをつけるだけで、気分はもうベテランという感じになるのもうれしいことですね。)

<双眼鏡の選び方原則>

 双眼鏡とひとくちに言っても、小さいものから大きいもの、倍率が高いもの低いもの、いろいろな種類のものがあります。まず大事なのは、自分の体力に合った大きさ、重さの双眼鏡を選ぶ事です。大きく重い双眼鏡は首が疲れ肩こりの原因になります。
 もうひとつは目的に合った双眼鏡を選ぶことです。山歩きのついでに鳥も見るという方であれば、出来る限り軽く小型のものをお薦めします。(予算をある程度決めて、専門店等で相談して購入してください。)

<倍率や口径について>

 初めての方は、倍率は高ければ高いほどよいと思いがちですが、倍率が高すぎると手ぶれも起きやすく視野も狭くなるためかえって使いにくいものです。最初は7-10倍程度の倍率のものをお薦めします。
 口径はあまり小さいと暗く、大きいものは全体が大きく重いものになります。口径30mm以上あればいいでしょう。ズーム付きのものは慣れれば便利な機能ですが、初心者の方はズーム機能がないもので十分です。
 持ったときのバランスはどうか、白いものが確実に白く見えるか、レンズコーティングに剥がれなどがないか、接眼レンズにキャップが付いているかどうかなど、専門的なチェックポイントもありますので、初めて購入する方は詳しい方に付いていってもらい、専門ショップのスタッフの方とも相談して購入することをお薦めします。

<やはり一人一台が原則>

 時々何人かで一台の双眼鏡を使い回ししている方を見かけますが、ストラップの長さ、目幅、視度はひとりひとり違います。その都度調整している間に鳥はもういなくなってしまいます。双眼鏡は共用するものでなく、ひとりひとりが自分に最適な調整をして使うものだということを忘れないでください。

 ● 単眼鏡(スポッティングスコープ)

単眼鏡

 双眼鏡より倍率が高く、三脚に固定して使用するいわゆる「地上望遠鏡」です。フィールドスコープ、プロミナーなど、いろいろな呼び名があります。天体望遠鏡は倒立像ですが、こちらは正立像で、例えば40倍のレンズを付けたスポッティングスコープであれば、100m先の鳥の姿を2.5mまで近づいたように見せてくれます。双眼鏡と比べていかに大きく見えるかがおわかりいただけるかと思います。
 倍率は20倍から40倍が主流で、ズームレンズの場合は、20倍から60倍が主流です。三脚固定使用が原則で、主な野鳥観察センターには必ずと言っていいほど置かれています。はるか遠くの鳥たちの姿を、ぜひ一度超アップで見てください。〈写真提供:谷津干潟観察センター〉

 ● トレッキングシューズ

トレッキングシューズ

 屋内から鳥を観察が出来るネイチャースポットや、近くの公園や川辺を散歩がてらのバードウォッチングなら、普段履き慣れたスポーツシューズで十分ですが、長い時間歩く事が多い山中でのバードウォッチングには、やはり本格的なハイキングシューズやトレッキングシューズが必要です。
突然の雨風に備えての防水性や保温性を保持しながらも中が蒸れないなど、最近のハイキング・トレッキングシューズの機能性には驚かれると思います。
山歩きの事故で多い足首の捻挫を考えると、初心者の方であればあるほど足首をしっかりガードするハイカットタイプをお奨めしたいと思います。アウトドア専門店を是非一度覗いてみてください。(写真提供=株式会社モンベル http://www.montbell.com

本文は財団法人日本野鳥の会のご協力をいただきました。(http://www.wbsj.org/

コラム3

最大の武器は
「あなたの耳と目」。

 双眼鏡を買ってうれしくてうれしくて、やたらと双眼鏡を覗くことに終始する方がいます。スズメやカラスは別ですが、通常鳥たちは、外敵から身を守るためになかなかその姿がわからないように体の色や居場所を工夫しているものです。探鳥会などで双眼鏡を振りかざして探しても簡単に見つかるものではありません。
 一番大事なのはまず耳。森の中、林の中に入ったら「まずは耳をそば立てること」から始めましょう。野鳥の声に耳を傾け、おおよその位置がわかったらそのあたりをじっと見る。いた!と思ったときからが双眼鏡の出番です。慣れるまではこれが探鳥の早道だと思います。(群れをなして水辺になどにいる鳥の場合は、もちろんその限りではありませんが.........。)

コラム4

スズメは元々
日本にいた鳥じゃない。

 最初はスズメを見てみましょう。人間に慣れているだけに、双眼鏡や単眼鏡で容易にアップで見ることが出来るはずです。電線に止まったスズメのしぐさ、つがいの愛の語らい、汚れた体をくちばしで綺麗にする様子、一番身近にいた鳥がこんなにかわいいものだとはと驚かれるはずです。
 ところでスズメは元々日本にいた鳥だと思われている方が多いと思いますが、実はスズメはアフリカが原産の鳥で、日本で稲作が始まった直後に東南アジアを経由し海を渡ってやって来たという説が最有力なのです。もともとが森林国であった日本にはスズメの食料である草の種子がありませんでした。しかし縄文後期か弥生時代に日本に稲作が到来しスズメにとって餌が豊富な国に日本が変化したのです。そこでスズメが遠くアフリカからやって来たと言われています。生き延びるためにはどこまででも移動し、そこが安住の地であれば定着する.........。子孫を残すことが最優先の鳥たちの意気込みというのは、身近なスズメからも伺い知ることが出来るということでしょうか。

コラム5

烏(カラス)に目がない理由。

 もう一匹ではなくもう一羽、カラスについてお話ししておきましょう。「鳥」という字、「烏」という字を比較すると、「烏」という字には「目」が入っていません。その字の由来は、カラスが目玉まで真っ黒なので目がないように見えるから、「鳥」から目を取り「烏」という字になったのだそうです。
 この目がない(?)カラスの賢さは驚くべきものがあります。テレビのCMで道路に固いクルミを置き割れたクルミを食べるシーンを覚えている方もいらっしゃるかと思いますが、実際に仙台市内に住むカラス(ハシボソカラス)は、信号で停車している車の前輪の前にクルミを置き、割れたら食べるという光景が目撃されています。しかも高速道路や直線道路など余りにスピードが出る場所ではクルミが粉々になってしまうのでやらず、交差点や急な上り坂の頂上手前など適度の大きさに割れしかも自分が食べる余裕がある場所を選んでやるのだそうです。同じ仙台市内の自動車学校では、教習コースのカーブ付近にクルミを置き、車の内輪差で割れる確率が高い所に置くということまで報告されています。まさに都市部のカラスの知的向上心はとどまることを知らないようです。