天体

スーパームーンとマイクロムーン

月の軌道は楕円形なので、地球との距離は40万 kmから36万 kmくらいの間で変化します。2021年5月26日の皆既月食は同時にスーパームーンということで騒がれました。

距離だけ言ってもピンとこないので、一番近いとき(スーパームーン)と一番遠いとき(マイクロムーン?)の満月の大きさを比較してみました。

残念ながら、天候や仕事の都合のため、同じ年に両方とも撮影するのは結構難しく、手持ちの写真は2015年のものになります。

 

2015年の3月5日の満月直前(マイクロムーン、地心距離406,364 km)と9月28日の満月直後(スーパームーン、地心距離357,019 km)をそれぞれ半分にして並べてみました。撮影に用いた望遠鏡はボーグ101EDの直焦点、カメラはCANON EOS60Daです。びっくりするくらい違いますね。直径は画面上で1460ピクセルと1290ピクセルになりました。比率は約113:100です。

左:2015年3月5日22時38分頃 (地心距離406,364 km)

右:2015年9月28日20時00分頃(地心距離357,019 km)

望遠鏡:ボーグ101ED(口径101 mm、焦点距離640 mm)

カメラ:CANON EOS60Da(ISO200、1/200秒)

さて、もう少し詳しく見てみましょう。

月までの距離をhttp://park12.wakwak.com/~maki/de405.htmで調べてグラフにして、満月の日に線を入れてみました。

グラフの縦横の軸は地心距離と日付です。地心距離の目盛りは35万kmから41万kmまで、日付は2015年1月1日から12月31日までです。満月の日に線を入れています。若干手抜きをしたので満月の線は最大0.5日程度の誤差があります。

左から3つ目の山(3月6日)に満月(マイクロムーン)になっています。右から4つ目の谷(9月28日)の満月がスーパームーンになります。

月と地球の距離が極小になる時(近地点)に満月になればスーパームーンです。月までの距離は、楕円軌道であることから変化しますが、その極大(遠地点)、極小(近地点)の距離の値は結構変動しています。これは太陽の潮汐力の影響ですが、地球、月との3体問題なので難解です。

なお、このグラフは地球の中心から距離ですが、観測者は地表にいるので、月が昇ってきたばかりの時と南中している時では、最大で地球の半径くらい距離が変化します。地球の半径といえば6378km(赤道)だそうですから、ここで示した縮尺のグラフでも、本当は目盛り間隔(1万km)の半分くらいの日周変化があるはずです。例えば、8月30日の満月と9月28日の満月の差より月が地平線上か南天にあるかの差の方が大きいともいえます。なお地平線付近の大気による屈折の効果は別途考慮が必要です。

Photo by 永壽 伴章
撮影機材
望遠鏡:ボーグ101ED(口径10)1 mm、焦点距離640 mm
撮影日
2015 年 3 月 05 日
撮影場所
つくば市
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